2012年6月22日金曜日

留学仲間インタビュー/ポーランドから日本へ留学/お茶の水女子大学/美術/Kasia Bryx

留学は楽しいことでもあり、自分を強くしてくれました

Kasia Bryxさん

日本への留学生へのインタビューを通じて、世界から日本を見ます。2回目の今回はポーランドのワルシャワ大学からお茶の水女子大学へ留学に来ている大学院生のKasia Bryxさん(以下カーシャ)にインタビューをしています。

インタビュアーは久保田です。

久保田 はじめまして。本日は「留学仲間」のインタビューにお越しいただきありがとうございます。カーシャさんが日本に来るまで、日本に来てから、そして今後のことについて聞かせてください。

カーシャ インタビューに誘ってくれてありがとうございます。ブログ楽しく読んでいます!ただ、すごく緊張しています。

久保田 緊張しなくて大丈夫ですので、お茶を飲みながらリラックスしてお答えください。まずカーシャさんの自己紹介よろしくお願いします。

カーシャ ポーランドのワルシャワ出身の大学院生です。ワルシャワ大学の5年生で、東洋学部日本学科に在籍しています。今は、お茶の水女子大学に留学で来ていて、1年半日本で勉強します。お茶の水女子大では、美術、日本語、ロシア語を勉強しています。絵を描くことが好きなのですが、学校では美術史を学んでいます。

久保田 ワルシャワ大学には日本学科があるのですね?!ポーランドの大学や、そこで学んでいることについて詳しく教えてください。

カーシャ 大学についてですが、国立教育(ワルシャワ大学を含む)は無償で受けることができます。義務教育は高校までですが、大学と大学院への進学率は高いです。日本との違いは、大学が3年間、大学院が2年間といったところでしょうか。また、“大学入学も難しいが、卒業も難しい”と言われています。2度試験に落ちると退学になりますし。

久保田 退学は厳しいですね。一般的に、日本の大学は“入学は難しいが、卒業は簡単”、アメリカの大学は“入学は簡単ですが、卒業は難しい”と言われています。両方とも難しいのがポーランドですね!

カーシャ 東洋学部は特に厳しいです。笑 日本学科では日本の文化、歴史、語学などを幅広く学びます。茶道や古文もありました。大学2年から始めたゼミでは日本の美術を学んでいます。また、日本の伝統的なゲームをするサークルもあり、麻雀、花札、ケンダマなどをしています。日本語学科のメンバーと行く1年に1度の合宿も楽しいです。

久保田 日本について幅広く学んでいるのですね!日本人より日本について詳しいかもしれないですね。私は麻雀や花札出来ないですし。

カーシャ 麻雀は出来ないですが、花札は簡単ですよ!


久保田 勉強します!カーシャさんが日本に興味を持って、日本に留学に来たキッカケ
を教えてください。

カーシャ 小さい頃に日本のアニメを見て、日本に興味を持ちました。セーラームーンやヤッターマンが人気で、皆見ていました。また、アニメ以外では日本のゲームや美術がずっと好きです。ゲームですとファイナルファンタジーやドラゴンクエストなどのRPG、美術ですと浮世絵など日本独特の物が好きです。
もともと、言語を学ぶのが好きだったというのもあります。英語だと皆が学んでいるので、あまりアドバンテージになるとは思いませんでした、日本語はポーランドでも珍しいので、学ぼうと思いました。
日本のカルチャーが好きなのと、日本語を学ぶのなら留学が一番効果的と思い留学を決めました! 日本の文部科学省より奨学金をもらえているので、留学のチャンスをもらえたことは本当にうれしいです。

久保田 日本のアニメは世界中でとても人気ですよね。私もセーラームーン見ていました。
実際に日本に来てからはいかがですか?カルチャーショックや日本の好きなところ/嫌いなところはありますか?

カーシャ カルチャーショックは日本について勉強していたので、あまり受けませんでした。実際に来てみたら本当にそうだった!と思うことが多かったです。
好きなところはたくさんあり決めにくいですが、特に、サービスを含め人が親切なところと、便利で何でもあるところが好きです。
ポーランドでも携帯の契約をする時は緊張しますし、難しいと思っているので、日本ではさらに難しいと思っていました。実際は、日本の携帯ショップの店員は親切でスムーズに契約することが出来ました。
便利なものも多いです。無くても大丈夫ですが、あるとさらに便利になったり、楽しくなるものが多いと思います。

久保田 ウォシュレット付きのトイレですね。

カーシャ 日本の文房具などですかね。
逆に嫌いなところはあまりないのですが、日本だと私がすごく目立ってしまうことが困ります。ポーランドでは目立たないのですが、日本にいるとどうしても目立ってしまいます(外見が)。私は緊張しやすいので、目立つととても緊張してしまいます。ヨーロッパ人は緊張しないと思われがちですけど、全く違う環境にいるので、実は緊張しています。でも、みんな外国に行くとそうでしょう?失礼なことを言ったり、しないように緊張しませんか。

久保田 緊張しますし、気を使いますね。
お茶の水女子大に通われているとのことですが、日本での学校生活はいかがですか?

カーシャ まず大学が女性の学生だけということに驚きました。女性だけの学校がポーランドでは珍しいです。
お茶の水女子大学は留学生にとても親切です。先生も優しいですし、寮も素敵です。留学生用のクラスに出ているのですが、それ以外の興味のあるクラスにも参加しています。大学では、美術のゼミに所属していて、サークルにも入っています。
また、留学生同士がとても仲が良いです。日本に留学に来たので、日本人と話し、日本の文化を学ぶ機会が多いと思っていたのですが、韓国、中国、タイ、ヨーロッパなどの留学生と話す機会も多く、日本以外の国について学べるのもとても嬉しいです。例えば、韓国は日本と似ていると思っていましたが、実際に会うと、ファッションや教育制度など、違う部分もあると知りました。特に韓国の教育制度が厳しくてびっくりしました。ヨーロッパ人で良かったと思った瞬間です。笑


カーシャさんの作品

久保田 留学先では他の国の留学生と交流する機会も多いですよね。
留学を終えて今後は何をしたいですか?

カーシャ とても悩んでいます。ポーランドで仕事を探すのであれば、日本語の翻訳家や通訳、または貿易関係の仕事をしたいです。出来れば日本で仕事をしたいと思っていますが、大変で難しいことだと感じています。


久保田 日本と関わりがある仕事をしていきたいのですね。海外の方に日本を好きになってもらえるのは、素直に嬉しいです。
カーシャさんにとって留学とは何ですか?

カーシャ 留学は楽しいことでもあり、自分を強くしてくれました。
ポーランドでは味わえない経験が出来たり、様々な人に会って、たくさんの国について学べるのも楽しいです。母国の授業よりも楽ですし。笑
また、日本に来てすごく強くなったと思います。ポーランドにいる時は出来ないことばかりだと思っていました。ひとりでは出来ないことが多いと。日本ではひとりで出来ないとダメなことばかりですので、ひとりで行動していくことによって自信がつきました。

久保田 具体的にどのようなことですか?

カーシャ もともと私はシャイなのですが、日本に来て友達作りをすることで、オープンな性格になりました。自分から話しかけないと友達も出来ないので。

また、留学すると、自分の弱みを超えなくてはなりません。昔はひとりで銀行に口座を開きに行けませんでしたし、写真に撮られることも苦手でした。日本に来て自信がついていくうちに、銀行にひとりで行けるようになり、写真にも慣れました。今ではモデルで写真を撮られることも出来るようになりました。
弱みを超えられて良かったと思います。ポーランドにいたままだと超えられなかったかもしれないです。

久保田 日本に来てオープンになったというのは面白いですね。一般的に日本人はシャイだと言われているので、日本人が海外へ出てオープンになることはよくあると思っていたのですが。場所は関係ないのかもしれませんね。
最後にポーランドの魅力を教えてください。

カーシャ 日本と比べたら面白いモノは無いかもしれないけど、全然違う環境を楽しんでもらいたい。建築や食べ物など、全く違うことが面白いと思います。
また、ワルシャワ大学の日本学科には深切な学生が多いので絶対会いに行ってほしいです。日本学科の学生も喜びますし、ワルシャワの案内もしてくれますよ。






2012年6月6日水曜日

留学仲間インタビュー/日本へ留学/国際基督教大学/人類学、メディアコミュニケーション&カルチャー/Won Nicole Jang

留学は私にとって自分の世界を広げるチャンスです

Won Nicole Jangさん

日本への留学生へのインタビューを通じて、世界から日本を見ます。1回目は韓国から国際基督教大学(以下ICU)へ留学に来ている大学2年生のWon Nicole Jangさん(以下Won)にインタビューをしています。

インタビュアーは久保田、写真撮影は細沼です。

久保田 まずはWonさんの自己紹介をお願いします。

Won 韓国出身のWonです。国際基督教大学に通っていて、専攻で人類学、副専攻でメディアコミュニケーション&カルチャーを学んでいます。大学進学の為に日本に来ました。

久保田 ICU進学の為に日本に留学に来ているとのことですが、それまでは韓国で勉強していたのですか?

Won 韓国で勉強していたのは中学校までです。中国語を話せる父の勧めで中国にあるアメリカンスクールに進学しました。アメリカンスクールでは中国語のクラスもありましたが、ほとんどのクラスが英語で行われました。1年間、アメリカンスクールで学びましたが、中国語と英語の両方が中途半端になってしまうと思い、高校2年生の時にアメリカ、ユタ州にある高校へ転校をしました。
中国でもアメリカでも田舎の学校を選びました。勉強に集中出来る治安の良い田舎町であり、周りに韓国人が少ない学校に行きたかったからです。


久保田 中国とアメリカで高校生活を経験されたのですね。国によって何か違いはありましたか?

Won 中国には新しいモノがたくさんあり、アメリカには新しい習慣がありました。海外で新しいモノや習慣に触れましたが、アメリカでも中国でも韓国でもどこかでは共通点はあると感じました。例えば、他人を思いやるなどの人間の根本は一緒。ただ、表現の仕方が国によって違うだけだと感じました。

久保田 海外へ出ることによって、違いと共に共通点も見つけたのですね。アメリカの高校卒業後に日本へ来たのですか?

Won はい。ICUに入学しました。私自身クリスチャンであることや、ICUがリベラルアーツであることを考慮し、入学を決めました。

久保田 日本の大学を選んだ理由を教えてください。

Won 中学2年生の頃に所属していた放送部での体験が日本の大学を選んだキッカケです。放送部での体験によってメディアに興味を持ち、自分の意見や考えを放送で伝えたいと思いはじめました。

当時の韓国や中国のTVプログラムは日本の影響を強く受けており、日本で流行ったプログラムが韓国で流行り、その後中国で流行るという流れがありました。アジアで影響力のある日本のメディアについて学びたかったので、日本に来ました。
また、メディアに関わりたいという思いがあり、専攻を人類学、副専攻をメディアコミュニケーション&カルチャーにしました。



久保田 専攻をメディアコミュニケーション&カルチャーにしなかったのには理由があるのですか?

Won 私の好きな言葉に「メディアは手段であり目的ではない」というものがあります。メディアを作ることよりも、メディアを通して自分の考えや意見を発信することに興味があり、人類学を学ぶことによって自分の教養を深めたいと思ったからです。
ちなみに日本の好きな番組は、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」です。笑





久保田 メディアを通して伝えたいことは何ですか?

Won メディアを通して、外の世界があることを知ってもらいたいです。外の世界を知ることにより、国、文化、言語などの違いはあるが、様々な共通点もあることを知ってもらいたい。また、国、文化、言語などのフィルターを通さずに、個人として人を見るような番組を作りたいです。
具体的には、難民問題や差別に興味があります。人間の無関心が難民問題や差別が起きるのに影響していると思っていて、人の興味をひくのにドキュメンタリーが有効だと考えています。30才までにドキュメンタリーを1つ作りたいです。

久保田 今後ICUWonさん自身の教養を深めると共に、メディアを通した発信方法などを学ばれるのですね。

Won はい。それと、フランスへの留学も決まっています。フランス留学の理由は2つあります。
1つは、私の全く知らない、新しい環境に飛び込みたかったからです。韓国はアメリカ、中国、日本の影響を強く受けていますので、韓国でもそれらの文化や習慣は体験出来ます。フランスでは今まで体験したことのない経験が出来るのではと期待しています。
2つ目は、フランス語を話せるようになりたいからです。ドキュメンタリーを作る際に、インタビュー相手と直接のコミュニケーションを取ることにより、フィルターのかからない意見を聞きたい。その為には自分が複数の言語能力を取得する必要があると思います。

久保田 素敵ですね。ドキュメンタリー作成以外に今後の夢はありますか?

Won たくさんあります。笑 人生1つの仕事に従事しなくて良いと思っています。ドキュメンタリーや番組を作りたいですし、世界各国の旅行ガイドに乗っていないような場所に行き旅の本を書きたいです。また、クリスチャンの学校も建てたいです。

久保田 これから海外へ出る方へメッセージをお願いします。

Won 目標や目的を持って海外へ行くのをお勧めします。日本はやはり安全な国だと思います。海外には誘惑や危険もあるので、目的意識をはっきりさせていくと、誘惑に負けないですし、ホームシックにも勝てます!
また、海外に行こうと思っているのなら、行った方が良いと思います。実際に行くことによってポジティブとネガティブ、両方の経験をしますが、私はネガティブな経験も今考えると役に立っています。

久保田 最後に、Wonさんにとって留学とは?

Won 自分の世界を広げるチャンスです。